導いてくれたのはいつだって、目の前に「存在」してるアイドルだった
大人の「ごっこ遊び」を、出演者の皆様と共にお楽しみいただけますと幸いです。
ミュージカライブ『アンプラネット-ボクの名は-』6/8-6/18 @紀伊國屋ホール
ポミィのこと、アンプラネットのこと、いろいろなもやもやを残して終わった去年の5月の舞台『アンプラネット』。きっといつかこのもやもやを亀田さんが晴らしてくれる!と信じて1年、ミュージカライブ『アンプラネット-ボクの名は-』が始まった。
「to be YOU to be ME 」@新宿THEATER BRATS 5月27日ソワレ
大学生6人+隣人が織りなすシチュエーションコメディ。雰囲気の良いスタジオに作られた小劇場、登場するのは男性若手俳優だけ7人、ストレートプレイで話しは観やすくておもしろい!若手俳優のオタクからしたら羨ましすぎるくらい、わたしにとっては理想的な演劇だった。推しが出てたら喜んで全通するやつ!
「昆虫戦士コンチュウジャー 〜ただの再演じゃ終わらない、そうだろみんな!?〜」2017年5月13日マチネ@あうるすぽっと
初あうるすぽっと。座席数300くらいって聞いてたからこじんまりした劇場かと思ったら、ゆったりと座席が作られた広い劇場だった。ロビーも無駄に広い!公共の施設だとこういう贅沢な作り方できるよなぁ。通路より後ろのセンターに座れたせいか観やすかったし、こういう施設もっと積極的に使えばいいのに。
ぼくらが非情の大河をくだる時-新宿薔薇戦争- 3月16日〜20日本多劇場Aチーム
「あんさんぶるスターズ On Stage Take your marks!」2017年1月11日マチネ
演劇を見たいわたしとキャラクターに会いたいわたしが存在して、相反する感情が渦巻いている。
演劇としては、この内容でよく2時間半保たせたなぁと。もともとあんスタ自体が好きなわたしとしては、メインストーリー4章、5章の芸能界や大人になることへの闇に目を向けた物語はとても好きだった(日日日先生作品の特徴なのか、若干モノローグが諄いと感じるけれど。)あんスタという作品の根幹にいる「転校生」という存在をストーリーから概念ごと削除しているのでそのまま上演出来るとは思わないが、起承転結で作られたもともとのストーリーがあるのだからそれなりの物語にはなるはずだと思う。
もちろん良い場面はたくさんある。特にスバルが北斗を呼び止めるために言葉を荒げる場面はとても好きだし、ステでも小澤廉くんと山本一慶の熱演が涙を誘っていた。しかし原作場面の再現があれば良いわけではない。どんなに良い芝居をしても物語を「起」「承」までしか上演せずに舞台の幕が閉じてしまっては舞台演劇として成り立っているとは思えない。せっかく良い場面だったのに、その芝居はこの演劇の中で何の意味もないものになってしまうように思えて残念だった。
メインストーリーの内容はほぼ1幕で終わってしまって、2幕はオリジナル(というほど練られていない)シーンと不自然に入れられたライブシーン。防音練習室で旧トリスタメンバーが入ったユニットの練習が行われて、正規メンバーが旧トリスタに「見学してろ」と言ってからのライブという流れが2度もあって流石に芸がなさ過ぎると思った。だいたい、ライブ練習に向かってどういうスタンスでどんな顔してうちわやサイリウムを振ればいいのだろう…
なまじ集客が見込めるせいで、舞台化する際に必須であるはずの物語世界の「再構築」という作業をおざなりにしているように思えた。残念。
キャラクターに関しては、初演組は安定していたし、今回はユニット単位で出演しているのでそれぞれの個性が色濃く出ていて良かった。
流星隊は前説からわちゃわちゃ感が楽しい。ストーリーに絡むようで全く関係のない立ち位置なのでとっても能天気。5人とも自由に動けるキャラクターのせいで色々なとこでごちゃごちゃやっているのも賑やか。これでそれぞれが慣れてきてもっと自由に動くようになったら騒がしいだろうなぁと今後が楽しみになった。今回1番のびのび演じていたのは仙石忍役の深澤大河くん。特に翠くんを励ましたり端でこそこそ動いているのが可愛かった。
fineは顔面偏差値が高い。特に英智役の前山くんは登場シーンだけで皇帝陛下だ…と分かるオーラがあった。綺麗なお顔で優しく微笑んで立ち姿も美しい。声は澄んでいて綺麗。何よりその無邪気さと滲む毒々しさ。正直今までゲームの立ち絵だけではここまで英智さまの魅力を感じ取ることはできなかった。fineの中でも群を抜いているこの天祥院英智に対抗できるのは、やはり小澤廉が演じる明星スバルだけかもしれない。
我らが赤澤遼太郎演じる大神晃牙。初演はかなり贔屓目で見ても褒めきれない演技だったけれど、さすが成長目覚ましい。とくに遊木真に嬉しそうに声をかける姿は晃牙くんの可愛さが爆発していた。ゲームの晃牙くんは喧嘩っ早さと内に秘める優しさという印象が強いけれど、赤澤遼太郎の晃牙くんはひたすら素直でかなりお馬鹿な仔犬といったところ。
前作に引き続き山中兄弟のひなたゆうたや樋口裕太くん演じる神崎も、ゲームの印象と少しくらい外れても、それ以上のキャラクターの魅力を生み出していた。2次元のキャラクターが3次元に、張りぼてではなくきちんと肉を持って立ち上がった感じがしてわたしは好きだ。
回数を重ねるごとに、役者の作るキャラクターは魅力を増す。その魅力を、物語の中で存分に堪能させて欲しい。ストーリーをライブのおまけにしないで、彼らの生き様を見届けさせて欲しい。
好きだから、わたしはまだ少しだけ次回作に期待と希望を持って待っていようと思います。
2016年12月15日マチネ「パタリロ!」紀伊國屋ホール
開演前客席に流れる昭和の代表的な音楽。回るミラーボールにカラフルな照明。わたしは昭和の時代を知らないが、チカチカと明るく浮き足立った雰囲気が普段は重厚な紀伊國屋ホールに広がっている違和感。幕が開いて連れていかれたのは古き良きなんでもありな昭和世界だった。平成の観客に向けた昭和を生きたキャラクターからの発言に何が始まってしまうのかすでに付いていけないまま始まったM1は、まさかの「花とゆめ」「白泉社」讃歌。ここはどこだ、とか、きっとそんなこと考えてはいけない舞台だったのだ!
加藤諒さん演じるパタリロは奇跡的な三頭身の潰れあんぱん。こんな人間本当に居たんだ…と不思議生物を見る感覚は、きっとそのままパタリロと出会った多くのキャラクターたちの感覚だ。
彼を囲むタマネギ部隊が可愛い。コミカルな動きに「タマタマ」という鳴き声(?)はしゃぐ姿に踊る姿。個を持たないゆるキャラのよう。メーキャップをオフした素顔は美少年のはずだが、美少年というよりおもしろお兄さんだった。注目は石田隼くん。1番小さくて1番よく動くタマネギ。ひし形の口がよく似合っていた。
いわゆるアンサンブルの魔夜メンズも無視されず、フューチャーした場面があるのは新鮮だった。彼らがありとあらゆる役になるおかげで舞台上はいつもガヤガヤしている。カーテンコールで出演者が並んだ時、これしかいなかったんだ…と驚いたほどの存在感で舞台を盛り上げていた。
印象的だったのは青木玄徳さん演じるバンコラン。細長い手脚に小さくて端正に整った顔、そして何より声と話し方がバンコランそのものだった。あの渋い声だからこそ、パタリロとのちょっとしたセリフのやり取りやマライヒにお熱な様子がおもしろい。佐奈宏紀くん演じるマライヒは可愛らしい顔立ちながらも全体的にやや大きい。ただ本当に見た目が綺麗な2人なので絡みシーンは絵になる。歌う2人を見ながら、わたしは昭和の時代に「花とゆめ」を開く女生徒になった気分だった。BLがジャンルとして確立する前。期待に胸を膨らませながら漫画誌を開き、バンコランとマライヒのキスシーンに今まで感じたことのない胸のときめきを覚える。劇場を埋めるのは、年代はばらばらでも、教室の隅でクックロビン音頭を踊っているようないつかの女生徒たちだった。
そのクックロビン音頭、いつ出るかいつ出るかと思っていたのだがなかなか登場しない。クックロビン音頭が入りそうな場面で流れるのは「ダンシングなまはげボーイ」。どの曲もなんだかクセになるのでプレイヤーを買っておけばよかった。そして物語のクライマックス、バンコランの窮地。物語にどっぷり浸かってハラハラしていたところに、パタリロがタマネギを率いて登場。「パパンがパン」え?!「だーれが殺した、クックロビン」ここで?!深刻な顔をしていたバンコランやマライヒまで踊り出す。パタリロとタマネギは客席に降りてきてしまう始末。私は思い出す。そうだ、この舞台では考えるなんて無意味だった…
技術を競いあうような2.5次元演劇で、小道具がちょいちょいハリボテなのがチープでかわいい。バンコランの目力はレーザーポインターを使った物理攻撃だった。ラストを飾る曲は2018年春に決まった新作公演の予告。前代未聞だ。この舞台、結局内容なんて無いに等しい。それでも劇場中で悪ふざけをするような楽しさが充満していた。私は2018年春までに「ポーの一族」と「ガラスの仮面」(ネタが多少わかるくらいには)を読んでおくことを誓って、昭和の世界を後にしたのだった。