キイロイ

若手俳優と惑星アイドル

「おそ松さん」on STAGE SIX MEN'S SHOW TIME 10月19日マチネ

短編のシチュエーションコメディが何編も並んだコント集のような見やすい作りで、とても楽しい舞台だった。公演始まってしばらくしても松ステで検索してもネタバレっぽいの踏まなかった理由は観劇して初めて分かった。内容は?と聞かれても答えられるような内容が無い…おそ松さんだからこそ、内容が無くても見ごたえは十分な楽しい作品になったのかな。
メディアミックスとして2.5次元舞台化する最近のトレンドなのだろう。背景、BGM、効果音などアニメの世界をそのまま持ってきている。しかしコントの作りはいたって舞台的で、そこが舞台としておもしろいポイントだったように思える。例えば暗転を使ったオチ、トト子ちゃんがグラスを割る音に合わせてひたすら出たり捌けたりするイヤミ。最初のコントと最後のコントが繋がって、2時間見たなという達成感と寂しさを感じさせる演出。見ている間は大笑いしているのに次の瞬間には忘れてしまうようなおそ松さんらしいくだらない話が続いて、最初の1時間でもうすでに笑い疲れてしまった。実写舞台なので日常系の話が多くなるかと思っていたが、大爆発オチや宇宙など破天荒さやナンセンスさは健在。エンディングは6子もF6が一緒に挨拶をして、舞台ならではの特別な世界に感動した。同時に世界はなんと残酷なんだ...とも思った。

2.5次元舞台は様々な場面に適用できるようにだだっ広い舞台を上下に分けただけというような作りも多い。その中で松ステはかなり凝った舞台美術だった。舞台上が簡素だと役者の演技力によってはただただ広くて白いステージ上にキャラクターがぽつんと置かれているような寂しい風景にもなってしまうが、松ステはそれを感じさせない。おそ松さんを象徴する松野家がステージ中央に存在し、片面は松野家の内装、片面は凡庸性の高い真っ白な壁。この真っ白な片面がすごい。プロジェクションマッピングによって様々な場面に対応する。使用されているのはアニメをそのまま持ってきたような背景だが、これが実写のキャラクターと絶妙にマッチしていたのは「おそ松さん」という作品だったからかもしれない。松野家は6子が大半の時間を過ごす部屋と居間。かなり小さめの作りで6人がぎゅっと詰まっている様子はそれだけで可愛かった。アニメ画面を見ているようなごちゃごちゃ感。衣装などキャラクターを作ることに重点を置く2.5次元舞台は多いけど、舞台セットも含め作りこんでくれると満足度は跳ね上がるなと感じた。

キャラクターはどの役者さんもアニメの声優さんの演技の癖や声質にできる限り似せてきていた。漫画原作なら声優さんの演技はキャラクター解釈の一つしでしかないけれど、アニメ原作だと声優さんの演技も含めてそのキャラクター。キャラクターのクオリティを上げる為に声まで似せる必要があるなんて俳優さんも大変だな…と妙な感心をしていた。
特に印象に残ったのは高崎翔太くん演じるおそ松(6子)。「お兄ちゃんびっくりだよ〜」などと自分のことを「お兄ちゃん」と自称するセリフが天下一品だった。うまく言えないけれど、お兄ちゃんという立場を利用して弟に甘えている感じ...ツッコミはチョロ松の全否定と対照的になんだかやんわりで、「長男だから弟たちに優しい」と「ただテキトーなだけ」の間を進むような絶妙な力加減だった。おそ松兄さん好きになってしまう。そして高崎くんの演技力はいつも多少のビジュアルの違いを凌駕してしまう…すごい…
わたしのキャラ推しは十四松なので気になっていた小澤廉くん。前回わたしが見たあんステの明星スバルをも超えるハイパー宇宙人な十四松。この言葉が褒め言葉になるのかわからないけれど、「違和感が無い」。成人男性で十四松演じられる人類存在した。MAXテンションで意味不明な動きを意味不明に行う。急にテンションを下げるところも「人間出してきた」ではなく「十四松」なまま。推しキャラにも関わらず十四松のことになると「十四松と概念」くらい迷宮入りしてしまうのだが、小澤くんの十四松も相変わらず迷宮入りで理解不能だ。語ろうと思っても分からないくらい十四松だった。そして顔が可愛い。アニメはブサ可愛くらいのイメージで見ていたので、ものすごく顔が可愛い。顔が、可愛い。顔が... ただアニメより性欲の強さがクローズアップされてた印象。十四松だけでなく6子はやたら「彼女欲しい」「やりたい」と言っていた。舞台の客層(20〜30代女子)を意識してかな?
今回も目当ては赤澤遼太郎くん。あざトッティー意識でいつもと声やしゃべり方が全く違い最初は驚いてしまった。動きもいちいち可愛いを意識していてあざとい。女の子もドジっ子も率先してやる。アニメのトド松は末弟ながらも(もっと意味不明な弟が多いので)一人の成人男性として兄たちと対等の立ち位置にいる印象だったが、赤澤くんのトド松はかなり愛され弟キャラだった。兄さんたちへ見せるドライモンスターぶりも兄たちに甘えている証拠という風に見える。赤澤トド松の兄たちは赤澤トド松がドライモンスターを発揮するたびに「お兄ちゃんはこんなにトド松を愛してるのに〜」と泣くのだろうなと思うような愛されっぷりだった。個人的に今まで「馬鹿」「犬」みたいな役を見ることが多かったので、また違った赤澤くんの演技を見られて良かった。もっと出来ないかと心配していたが、2.5ベテランな兄たちに十分食らいついていた。おそ松とトド松の会話劇は一生見てたいテンポの良さ、可愛さ、愛おしさ。
ビジュアルでは一番期待値が低かった(ごめんなさい)柏木祐介くんも、カラ松がそのまま飛び出してきたようだった。無視されても払いのけられても崩さないキメ顔、ポージング、短パンの圧倒的似合わなさ。観劇後しばらく連れが持っていたカラぬいが柏木くんにしか見えなかった...

客降りもライブシーンも、やたらめったらという感じではないのでちょうど良い。2部構成のライブ付き舞台に慣れているので芝居中にちょこちょこライブがあると慌ただしく感じるが、今回はペンライトが必要なライブが F6の登場とエンディングだけだったので芝居は落ち着いて見ていられた。F6登場シーンは分けわからないことを分けわからないまま押し切る強引さが、6子コントとはまた違っておもしろかった。

またやるなら今度は6子銭湯シーンも入れて欲しいです。F6カラ松はやたら脱いでたけど。

おわり。