キイロイ

ホシノつくヒト

「夏の夜の夢」2017年8月11日〜13日@亀戸文化センターカメリアホール

昨年に続き夏のシェイクスピア@亀戸。

全体的に去年よりポップにラブコメしてて見やすかった。台詞を「その時代の台詞だから」と真面目な顔して流さずに、現代の私たちが自然に感じる解釈で捉えていたので分かりやすい。役の解釈もそれぞれ自由だった。
 
ハーミア・ライサンダーカップルはライサンダーの下心が見え過ぎる。ムッツリで何故か挙動不審。ヘレナに寝返った時、ハーミアへ浴びせる言葉と暴力。あのパックもちょっと引いちゃうクズっぷり。大人しそうな顔して「わたしは今でも綺麗でしょ?」とか言っちゃうハーミアとなかなか良いカップルだった。
去年はライサンダークズじゃんとか思わなかったのになぁ。
 
一方ヘレナ・ディミートリアスカップル。トークショーでディミートリアス役の松村泰一郎くんが言ってたいた通り、和合真一くんのヘレナは「圧がすごい」。押しも強い。腕力も強そう…
特にハーミアを追って森へ行ったディミートリアスに着いて行くシーン。和合ヘレナの表情?話し方?の「妙」さ、全身でディミートリアスへ愛を伝えるちょっとした狂気が、シェイクスピアの台詞回しに「妙」にマッチングしていた。ヘレナがメンヘラのポエマーにしか見えない…
追い掛けられる松村ディミートリアスは逆に小さくて弱そう。デレデレした表情や時々見せる間抜けさ、格好悪さ。2人の凸凹感もおもしろい!
「殺されてもいいからぁ!!!!!」と突進してくるシーンなんて、その勢いでディミートリアスが殺されそう…あくまで「女性として自然に見えるように」とは言っていたけれど、だとしたら和合くんの女性のイメージどんなだよ…
和合ヘレナの圧の所為か和合くんの恋する乙女解釈の所為か、台詞がいちいちリア恋拗らせオタクに刺さる。分かる、分かるよヘレナ。ディミートリアスが世界の全てだよね。見ていないと気分が悪くなるよね。あの人のすること、全て私の所為ならいいのにね。
ディミートリアスと結ばれた後、観劇をするヘレナの"ディミートリアス狂"ぶりも凄い。ディミートリアスの言葉には大袈裟に頷いて、ライサンダーの言葉には氷の矢のような視線を送る。ライオンに物凄く怖がってみたり、ラストシーンで号泣してみたり、メンヘラっぷりも凄い。
去年の夏の世の夢では、役のおもしろさはパックの一人勝ちと思っていたけれど、ヘレナもディミートリアスも、演じ方によってはとても魅力的になるんだなぁと。
 
そんな大好きなパック。今年は古谷大和くんが演じるということで期待大。自由で天真爛漫、子供っぽい素直で純粋な残酷さを持った可愛らしいパックだった。
人間を驚かせたり喧嘩をさせたり賑やかなことが大好き。純粋に「おもしろいな!」とか「不思議だな?」とか、欲望のままに生きていることが伝わる。
妖精の王様オーベロンとの関係性もおもしろかった。オーベロンは、悪戯好きでちょっとお馬鹿さんなパックに手を焼きつつ、出来の悪い我が子を愛おしむように。パックはオーベロンに敬意を見せながらも、すっかり懐いてリラックスしている。親子とも師弟とも言えない優しい雰囲気。オーベロンの脚の間にちょこんと座るパックが可愛い。
基本的には何でも楽しそうだけど、時々コトンとつまらなそうな顔をする。そう思ったら、目の前の人の筋トレや拍手を真似してみてすぐ元気になる。何か楽しいことがあると、妖精の王様に報告しようと思っていた事も忘れてキョトン。アハッ!という笑い方も印象的だった。
瞬間を生きてて掴みどこがない不思議な存在。
ラストシーンの台詞。飛び出す言葉の意味は分からなくても、落ち着いた声と遊びのある言葉が耳に心地よい。
 
推しにもパックを演じて欲しい!是非!!
 
最後の劇中劇では、若手俳優舞台の追っかけを嗜みとする私たちへ、公爵の有難いお言葉が次々授けられる。
「取り柄のないものに取り立てて感謝するのが親心だ」
「出来栄えでなく心映えで見るのだ」
公爵〜〜〜〜!!!!!!
シェイクスピアさんはこの作品どうしたんでしょうね。前作で、ちょっと剣を突き立てたり猛獣に雄叫びを上げさせたりしたら滅茶滅茶叩かれたりでもしたんですかね。その上プロデューサーから急に新人俳優6人使えとか無茶言われたんですかね。
 
ロバ頭に夢中になる妖精の女王ティターニアが可愛くも滑稽に映る。
もしかしたら、私の愛する推しさんもロバ頭かもしれないし、必死に追いかけるのだって、妖精に花の蜜で悪戯されたせいかもしれないね。
アハッ!