キイロイ

星乃勇太と宇宙人アイドルと

舞台「ひらがな男子」2018.7.20~7.29 @AiiA 2.5 Theater Tokyo

原因不明の大爆発によりバラバラになってしまったひらがな達が、再び文字をこの世に取り戻す為に、いろいろ頑張るおはなしです!

 

脚本をお笑い芸人のバカリズムが書いているということで話題になった「ひらがな男子」

台詞のやり取りや随所に入れられたメタ発言がおもしろかったです。

キャラクターも、既存のキャラ属性に当てはめた画一的な感じでなく、1人のキャラクターが様々な面を持っていて、とても“人間”らしく感じました。

そして何より、その脚本を、役者の方々がのびのび楽しそうに演じているところが印象的でした。

毎公演、その場その場の空気や勢いで台詞のニュアンスが変わって飽きさせません。

キャラクターと、役者の素が出てるんじゃないか?と錯覚するようなギリギリのところをついてきて、演出と役者さん達の力を感じました。

春日兄弟演じる「ぁ」と「ぃ」のけっこう自由な感じがかなりおもしろかったのですが、彼らにはどこまで演出をつけたのでしょうか。

“ああなっている”のではなくて、演出されて”ああしている”のではないかと、ちょっと恐ろしくなるくらい「妙」なところをついてきます。

そして兄弟、はちゃめちゃに可愛い。

「ぃ」の可愛さにはあの星乃さんも目尻を下げていました。それがまた可愛い。

 

もう数えるのをやめたくらい川尻さん演出の作品を観ているのですが、どの作品も、原作の空気感をそのまま舞台で感じます。

再現ではなく、表現として、です。

なので原作が肌に合わないと、よくもこんな作品にわたしの大事な推しを呼びやがって、と思うのですが…

「ひらがな男子」は良い意味で力が抜けたように感じる舞台の上で、推しの芝居を堪能させていただいたので、選んでくれてありがと~って感じです。

 

 

ここからはネタバレも含めた話になります。

 

 

星乃さん演じる「よ」

そんな芝居もできるんだ、と新しい一面を見た役でした。

 

決して派手な言動のキャラクターでは無いのですが、流れるようなゆったりした話し方や基本穏やかな表情で、存在感をしっかり示していました。

 

見せ場は、占いの館で出会った「た」に自分は「よ」だと言い出せず、「う」だと名乗っていた嘘がバレた場面での“逆ギレ”でしょう。

この界隈で、あんなに見事な“逆ギレ”を見せてくれるのは星乃さんだけです。

美しい顔を台無しにしてキレる姿は、威嚇する猿のようでした。狐なのに…

あれだけキレ散らかしているにも関わらず、見ている方はただただ愉快な気持ちで見ていられるのもすごいなぁと思います。

エンターテイナーです。

 

2部はファンサもさることながら、何故「よ」が歌っているのかイマイチ分からない歌詞も溢さず歌い上げていて、さすがこの道のプロでした。

 

それぞれ様々に2.5次元舞台に出演してきたキャストの方々が集結している本作ですが、伊達にいろいろな役を演じてきているわけじゃないな、という貫禄を見せてくれました。

 

他は、「ぬ」が大抵のことを力技で乗り越えようとする感じがツボでした。

「に」は歌が上手で、もう少し歌うところを観たかったです。

「ば」の福島海太くんは、ラスト5分の登場で普通を絵に描いたようなキャラにも関わらず、すごい存在感がありました。

ライブも前説も、1番観客を盛り上げていて、彼もまた、さすがこの道のプロだなぁと思います。

 

そして、「あ」役で座長の佐奈宏紀くんの自由な演技が、この作品のキャラクターの捉え方が他の2.5次元舞台と少し違うことを示していました。

 

バカリズムさんがインタビューで「裏切ります」と言ってるのを聞いたとき、「全身タイツのトカゲ以上のことをしてくれないと、そう簡単には裏切られないぞ」と思っていたのですが、キャラクターに関しては少し裏切られたな、と感じます。

 

最後の「う」のネタばらしが少し長く感じましたが、シリアスな場面も決して真面目なままでは進めず、思わず笑ってしまう台詞が入っていておもしろかったです。

 

1部で歌われるのは、登場するひらがなを使った言葉遊びのような歌詞の曲。

2部はどちらかといえば、ひらがな達のキャラクターにフォーカスを当てた歌詞。

 

どちらも歌詞に意味があるような無いような曲ですが、慣れ親しんだ「いちばんかんたんなもじ」に、心をほぐされるようでした。

 

渋谷と原宿の間にひょっこり現れた「ひらがな」の世界。

優しい世界の無邪気な男の子たちと、楽しく遊べます「よ」