MANKAI STAGE 『A3!』 〜SPRING & SUMMER 2018〜 2018/11/4@天王洲銀河劇場
主人公は、2人のリーダー。
周りを巻き込みながら成長していく春組リーダーの咲也と、周りに背中を押されながら成長していく夏組リーダーの天馬。
この対照的な2人がふたつのストーリーの中で対比的に描かれていました。
2人が対峙するのは、寮の廊下ですれ違う場面だけ。
先に春組の公演を成功させた咲也のリーダーとしての振る舞いが、天馬にとっての「正解」にはなり得ないことを示す印象的な場面でした。
2人はそれぞれのチームの中で、それぞれにしかできない形で、かけがえのないリーダーに成長していきます。
その集大成が劇中劇。
意外に見応えのある物語の中で、チームの成長をまじまじと見せつけられました。
開演のベルがなった瞬間、天王洲銀河劇場はMANKAI劇場に、私はその劇場を埋める客の1人に、景色が変わって見えます。
次元や空間を越えるような感覚に心が震えました。
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本当は“カントク”としてこの世界に関わることができるような仕掛けになっているのですが、客席中に「カントク!」と呼びかける演出の中で、“カントク”に成り切ることは私には少し難しかったです。
“カントク”を概念ごと抹消してしまうと真澄くんのアイデンティティが根こそぎ奪われることになるので、このカントクの残し方は最善策なのかなぁと思います。
カントクがいない世界線では真澄くんは左京さんあたりに一目惚れするのでしょうか。
後々めちゃくちゃややこしくなりそうですが、それはそれでめちゃくちゃおもしろいですね。
シトロンの忠誠のキスは支配人か、物語的には咲也くんに注がれるのが無難でしょう。
大和さんのシトロンなら当たり前にスマートにやりそうです。
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今回特に楽しみにしていたのは、古谷大和さんと本田礼生くんの共演でした。
組は違えど、この2人が舞台の上で顔を合わせてはしゃぐ姿を見るのは、本当に本当に嬉しくて、そして考え深いものがありました。
シトロンを演じる大和さんも、三角を演じる礼生くんも、癖のあるキャラクターながらその自由さを活かし、細かな遊びをたくさん入れていて見ていて楽しかったです。
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MANKAIカンパニーを守るために、左京さんから提示された条件の一つが、「春組の公演を行い千秋楽を満席にすること」でした。
簡単に叶ってしまったそのハッピーエンドと、それを簡単にチケットがソールドアウトしたこの舞台の上でやられてしまったことに、報われないなぁと思いました。
半分も埋まらない客席とそれを埋めるために招待客が集められた舞台も
特典に握手をつけなければ売れないチケットも
アフタートークの為に呼ばれた出演者ではない役者達も
早々に買い揃えた公演のチケットをさらに買い足して友人に配る私も
そんな薄汚れたリアル、現にチケットが売れているという説得力まで持ってしまったキラッキラッのファンタジーの前じゃ、全く歯が立たないですね。
例えば同じ役者で、同じ演出家で、同じ脚本家で、同じ“劇団”が題材で、オリジナル作品だったら、亀田さんの本なんだからおもしろくないわけないし、誰かにとっては生涯忘れられないくらいの舞台になっていたかもしれない。
でもそうしたら、6月から11月までのロングラン公演も京都公演も組まないし、天王洲銀河劇場は毎回満席になんてならないし、千秋楽ライブビューイングは行われないし、オランジーナはスポンサーにつかなかったでしょう。
おもしろい演劇を作れば、役者が観客を楽しませようと頑張れば、客席が埋まるなら、私が見てきた空席はもっともっと少なかったはずです。
この、MANKAI STAGE 『A3!』が、エーステで初めて演劇を観た人や、2.5次元舞台しか観たことがない人の、他の舞台へ足を運ぶきっかけとなることを願っています。