キイロイ

ホシノつくヒト

ミュージカル「卓球☆ウォーズ」2018.11.23~12.2 @浅草ゆめまち劇場

推しは天才ではありませんが。

 

今回彼が演じたのは、かつて天才卓球少年として名を馳せた高校1年生の周藤天球です。

とても器用に見える努力の人である(と思う)彼が、如何に天才を演じるのか興味がありました。

 

彼の周藤天球はとても繊細な少年でした。

 

基本は無邪気で強気な天球です。

しかし、舞台のメインにはならない場面で、じっと自分の胸の内を見詰めるような姿を見せます。

悔しさ、恐怖、苛立ち、不安。

天才という形容を超えて、青春の真っ只中に佇む1人の高校生がそこにいました。

 

天球の強気な態度に隠した弱さは、歌に乗って客へ届けられます。

 

私は彼の歌声が好きです。

 

メインキャストは彼以外アイドルですし、歌が上手な方はたくさんいます。

 

しかしミュージカルとして歌った時、そこに現れる表情、強弱、視線の移動までもが、曲に歌詞以上の意味を与えると思っています。

もちろん彼も歌は上手で、難しそうな高音も綺麗に響いていましたが、私は、彼がそこで表現したい天球の心情ごと彼の歌声を呑み込んで「心に響く」ということを知るのです。

 

歌では天球の弱さが見える分、ダンスでは天球の強さが現れていました。

 

表情や台詞などの芝居だけでなく、ダンスや歌も含めて“周藤天球”という少年を作っていて、その細やかな彼の芝居が私は大好きです。

 

そういえば、千秋楽のソロダンスの振りいつもと違ってました??

あんなに見たのにぜんぜん確信できない記憶力ヤバめな私に、誰かこっそり教えてください。

 

 

日韓共同制作、というか、メインがK-popアイドル達だった所為か、終演後に手厚い特典会がありました。

正直この為に通ってたみたいなとこもあります。(そしてそういうオタクがこういう作品を増やしてしまう)

 

剥がしもいないので見様見真似で推しの前にしゃがみ込んで、すごく落ち着いて話ができて良かったです。

言いたいことを言って自主的に剥がれようとすると話しを振ってくれたり、全体的に気遣いと優しさの塊である推しを見ました。

鮮明に覚えているのは、丁寧に書かれていくサイン、推しの男の子っぽい指先と自分の見慣れた指先が視界に収まった時の感動。

今考えると推しの顔の記憶が殆ど無いです。

2人して下向いて会話してるのウケるね。

 

今年は推しにも推し以外にもいろいろな事があって、膨張していた自意識と推しへのイメージが落ち着いたタイミングだったので、この時期にこういうイベントがあったことは幸せでした。

 

単純に、好きな人とのおしゃべりって楽しい!!

 

 

ストーリーに関しては、正直特に語ることはありません。

スポーツモノで、男2人女1人の幼馴染で、ライバルがいて、だいたい想像に難くない事が起こります。

「オリジナル」「新作」と聞いて期待して行ったのですが残念でした。

今まで擦り切れる程作られた設定、展開を切り貼りしました、という印象です。

 

破壊と創造を放棄した時、そこにエンターテインメントはありません。

 

私が行った公演でも客が50人いないような日がありました。

推しだけでなく、キャストが誰一人手を抜く姿は見ていません。

それでも、座席も客も倍近く増えた千秋楽の劇場の方が気持ちが盛り上がるのは、ナマモノの舞台では仕方の無いことでしょう。

 

どんな作品でも、ストイックに取組み、初日には完璧に仕上げてくるキミの姿勢を、私は何度も目にしてきました。

 

何をもってキミの努力が報われると言うのか、私には分かりませんが、それでも、キミのその努力が報われますように、と、願わざるを得ないのです。